笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

事件は俺の頭の中で

彼は最近には珍しい、純情な好青年。
ゆえに会社でもなかなかの人気者だ。
特にパートのおば様たちの熱狂ぶりは、少々痛々しくさえある。おば様たちは、みな青年に夢中なのだが、それでもやはり女性の集まりらしく、きっちり派閥が出来ている。
派閥のひとつは「積極派」。
いわゆる、その昔は美人だったと、少なくとも本人は思っている、いい意味でも悪い意味でも色気を失わない人たちだ。
彼女らは、あわよくば青年といい仲になろうと画策していて、仕事が終わると呑みに行こうと誘ったり、青年の身体に必要以上に触れようとしたり、なかなかたくましい。
この一団は、基本的に青年といい仲になるのが狙いだから、わりと単独で行動する。
派閥のもう一方は「親衛隊」。
純粋に青年のファンと言うよりは、いい仲になるのをあきらめた方の一団である。
その代わり、アイドルの親衛隊よろしく、青年の貞操(?)を守ることに、至上の喜びを見出している。もちろん、「積極派」のおば様たちとは、犬猿の仲と言うよりは、もはや宿敵。
積極派の連中を集団で攻撃することが多い。積極派は単独行動が多いから、彼女らのせいで、青年に近づけないことが多く、親衛隊に対して憎悪を抱いている。
 
そして、青年自身。
彼は今のところ、その大人しく慎重な性格が災いして、思いを寄せる経理の女性に、アプローチできないでいる。仕事終わりに、経理へ寄って彼女と事務的な話しをする、その一瞬が、彼の今の一番幸せな時間だと言えよう。
 
経理の女性は、非常に美しく、見かけは清楚で優しい。
が、実は野心家で、大胆な面もあり、現在、専務と不倫中。彼の正妻の椅子を狙っている。青年のことは可愛い男の子だとは思っているが、今のところ恋愛感情は持っていない。
 
専務は副社長派で、社長派との対立が激化している。
そのため、敵に弱みを見せるわけには行かず、経理の女性のことを、少々疎ましく感じ始めている。彼女が、やたらと結婚を迫ったり、現在の妻と別れるようにと口にするのも、疎ましい要因のひとつだろう。
 
こんな状況の中、事件は青年への思いを抑えきれなくなった、ひとりのおば様の暴走で、幕を開ける……
 
 
整骨院の表で、自動販売機の巡回メンテナンスをしているイケメンを見て、あっという間にここまで妄想を膨らましたんだけど、どこをどういじっても俺好みの話にならなそうだから、ここに書いておきます。
 
つーか、まこと*1に話して聞かせたら
 
「レセプト*2終わったんですか?」
 
終わってないから、こんなこと考えてるんだよ。

*1:整骨院の若い衆

*2:保険請求