正直ね、今日治療に来られるやつは、健常者ですよ。少なくとも、俺の治療ごとき必要としないくらいは。むしろ、俺のほうが半病人。つーくらい、暑かったですね。
商売柄、つーか、冷房が原因のトラブルも多い昨今。治療院にはあまり強く冷房をかけられないんで、ウチの冷房は非常に貧弱。20畳分の広さに、8畳用の冷房なんです。それで普段は全然OKなんですがね。
え〜と。
いや、クーラ全開なのに室温30度とか、普通に間違ってるから。
そんで患者さんが少ないならともかく、なにやらこんな日に限ってやけに大盛況。経営者としては喜ぶべきことなんだけれども、スタッフとしてはカケラも喜べない。
てなことを日記に書いてやろうと画策してたんです。んで、俺様がどれだけ疲労困憊し、かわいそうなほどヤツレてるか、写真を撮って見せてやろうと思いまして。
誰にって、あなた方に。
携帯で写真を撮って、んじゃ、自宅のPCに送っておこうか……
ぬ”ぁ?
いや、そんなはずはない。ありえない。これは幻だ。まちがいない。そうだ、まこと(整骨院の若い衆)に聞いてみよう。
「な、まこと。もしかして俺の生え際って、少し後退してたり……しないよな? いや、ごめんごめん。なんか、ちょっと気になったからさ」
なぜに瞳をそらすのだ君は。
「なんだよ。目ぇそらすなよ。え? マジやばい?」
「大丈夫ですよ。俺はついていきます」
「アサッテの方向に慰めるな! つーか、マジでやばいの? ホントに?」
「僕からは何も言えません」
明日から、オールバックやめる。
きーーーーっ!