笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

昨日の続き

アメ横だけじゃなく、上野バイク街も、ずいぶん変わってました。
めちゃくちゃ小さくなってるんですよ、残念ながら。コーリン他数件を残すばかりで、俺が通いつめてた全盛期と比べて、見る影もない。まあ、不景気だし、バイクの人気もだいぶん下火ですからね。
なんか、コーリンはつぶれかかって、経営建て直しに、銀行から人が送り込まれてるとか何とか。全盛期のコーリンのでかさを知ってる人間からすると、信じられないような話ですが。
アメリカ館と純正パーツ館を眺めてるうちに、なんだか少し寂しくなりました。もっとも、まこと*1は全盛期を知りませんから、『こんなもんでしょう?』なんて言ってましたがね。
 
上野だっつって、アメ横やバイク街だけってのもナンなんで、他にも色々と行ってきたんですよ。まずは、上野駅構内にある、理科おもちゃの店。店名は忘れた。
入り口からいきなり骨格標本模型がお出迎えですが、こちとら骨の専門家ですからね。仙腸関節のディテールが甘いとか、脊椎の椎体と椎弓のバランスが若干おかしいとか、いきなり店の前で骨格標本にダメだしをはじめまして。普通に嫌がらせ。
んで、中に入ったら入ったで、基本的に精神年齢が低いふたりは、不思議な理科おもちゃに、いちいち嬌声を上げます。
普通に歩いてるだけで職務質問2回も喰うような輩が、うぉーとか吼えながらペットボトル潜水艦とか、地球ゴマとか、万華鏡とかで騒いでるんですからね。画的に営業妨害以外のなにものでもない。定食屋で嫌がらせに騒いでる、地上げ屋さんと、どっこいどっこいってなもんで。
そこにあったのが、いつまでもまわるコマ。
写真の方はあとでアップしますが、とにかくこれが秀逸。
電池と電磁石の入った、小さな台の上で、付属の磁石入りコマを、ちょろっと回すんですよ。するってーと、ふらふら回ってたコマが、電磁場で加速されて、だんだん速度を増してくる。最後には、ブンブン唸りを上げながら、えらい勢いでいつまでも回るんです。電池が切れるまで。
もちろん、問答無用で即購入ですよ。
 
そのあと7階建てくらいの、別のおもちゃ屋さんへ。
プラモデルのところで、まことのバイクはあるのに、俺のバイクはないという状況に、35歳の繊細な心を軽く傷つけられたりしながらも(まことのはベストセラーバイクで、俺のは超マイナーバイクだから、当然なんですが)、やっぱりおもちゃ屋さんにはふさわしくない、獣のような咆哮をあげながら、次々と見て回ります。
そして当然、我々の足は、モデルガンのところへ。
「うっわ、これターミネーターのじゃん」
「バカ、まこと。これ見ろ。マトリックスの銃だ」
トライガンのは、ないなぁ……」
「おぉ! 名器ベレッタM93じゃねーか。やっぱいいなぁ」
言ってるとまこと、カービン銃を指差して吼えます。
「先生! 名案、名案。これ買って、ぶら下げて、もう一回浅草行きましょうよ。そんで、オマワリ狙撃しましょう」
「うん、カケラも名案じゃないから、それ。そんなキナ臭い予定を、俺の休日に組み込むな。狙撃も襲撃もしねーよ」
「ちぇ、衰えたなぁ……まるで衰退してゆくバイク街を見るようだ」
「や、意味わかんねーから。俺は昔も今も、エアガンで人狙撃したりしねーつの。だいたい、おめ、昔のバイク街、知らねーだろが」
 
どうにもオマワリに復讐したがるまことを抑えつつ、おもちゃ屋をあとにしまして、そのまますぐそばの牛丼屋に行きます。
牛丼に温泉タマゴとバターを乗っけて、おろしにんにくをかけて食べるって言う、天才的な発明をした牛丼屋さんです。いっや、マジでガンうまですよ、これ。ノーベル賞やってもいいと思う。トイレが三階にしかないのが、唯一の難点。
そこでまことが牛丼食いながら、またわめきます。
「おぉ、これもいいかも」
「あん? 何が?」
「にんにく攻撃ですよ。ほら、にんにくてんこ盛りに喰っておいて、狭いパトカーの中でわざとはぁはぁするんです。何か聞かれたら、いちいち顔を近づけて、思いっきり、にんにくたっぷりの息を吹きかけるんです、オマワリに」
 
 
もう、いいから狙撃でも何でもして来い。

*1:整骨院の若い衆