笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

セピアの記憶

レセプトも終わり、心も軽く仕事をしていると、まこと*1が、ニヤニヤしながら後ろ手に何かを隠して、整骨院の奥へ行こうとします。
「こら、小僧*2。後ろ手に隠したものを見せろ」
「いや、なんでもないです」
「いいから出せ」
持ってたのは、消毒用アルコールを入れたスプレーボトルと100円ライター。何をやろうとしているのかは、明白ですな。
無論、火炎放射器ごっこに決まってます。
「……表でやりなさい」
説得してやめさせると言う路線は、かなり以前に放棄しているので、とにかく火事にならないように、表に出てやらせます。と、まことは表に出て、整骨院の入り口のガラスに向かって。
ぼうっ!
「やっべ、面白いな。まこと、こっちから見たほうが面白れぇぞ! 炎の断面が見える」
「マジすか? 俺も見たい」
今度は攻守交替して、俺がガラスに顔を近づけてるまことに向かって、ぼうっ!
「おー! 怖ぇ! 迫力ありますねー」
 
ソコから話は昔話に突入します。
「俺、これをはじめて教わったのって、小学一年生のときですよ。近所の六年生に」
「あー、そーいや俺もそうかもしれないなぁ。つーかこれさ、キンチョールとかでやったよ。弱燃性だからちょうどいいんだ」
「あ、俺らもキンチョールでした。他のだと、おかしいくらい炎が出るのがあるんですよね。それじゃ危ないからキンチョールでやってました」
「ほう、珍しいな。お前なら炎が大きい方が喜びそうなもんだが」
「いやー、それだと危ないじゃないですか、相手が
「……うん、突っ込みたいところは山ほどあるけど、いいや」
「いや、友達とジェーソン*3キンチョールと100円ライター買って、近所の公園で戦ったんですよ。髪の毛燃やしちゃって、あとでオカンにすっげぇ怒られたんです」
「バカなガキだね、ホント。つーかやめろよなー。今の俺らぁ金もあるし止める人間もいないんだからよ」
「やりたいんだ。いいですよ、いつでも戦いますよ」
「やらねーよ! つーか、おめ、そう言うのホント大好きだな」
 
 
 
 
 
 
「もちろんっ! 刃物と火遊びは大好きですっ!
 
胸を張るな。

*1:整骨院の若い衆

*2:28歳だけど

*3:ホームセンター