笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

恋する神々

某所で連載してた、俺の恋話がありまして。
もう、すっかり更新してないんですが、久しぶりにそれを見つけたので、ここに転載しておこうと思います。いわゆる、初恋の話です。多少、推敲してあります。
 
 
【恋する神々】
初めて女の子を好きになったのは、幼稚園。年少さんのころでしたか。おなじさくら組の「さつきちゃん」に、いきなし惚れちゃいます。いつも金魚のふんのようにくっついて歩いてまして、さつきちゃん、相当、迷惑だったようです。
このとき、ラヴレターなんぞ書いてまして。
もちろん字なんて書けません。お袋の談によれば、買ってもらった『あいうえお下敷き』なる文明の利器の『ひらがな表』を見ながら、一生懸命書いたらしいです。半分カガミ文字だったそうですって、余計なこと覚えてるんじゃないよかあさん。
で、文面ですが……
 
「ぼくは おおきくなったら さつきちゃんおよめさんになります」
 
一緒に嫁になってどうする。
 
統一教会か俺は。むしろニューハーフと女の子のベストフレンドか。
んで、そのラヴレターを堂々と渡せるならカッコいいのですが、気弱な(?)俺は彼女の椅子の上におきます。なんと言うヘタレっぷり。しかも名前さえ書いてなく、「一緒に嫁になる」とかワケのわからない内容ですからね。普通にキ○ガイです。
いわばストーカのはしり。
 
んで、手紙を受け取った当の本人、さつきちゃん。
怖かったんでしょうね。
手紙はさくっと先生行き
血も涙もありゃしませんよ、この女。
 
俺は涙を飲むやら恥ずかしいやら。もっとも署名がありませんから、犯人はわからないわけで、とりあえず黙っていれば、完全犯罪になることは間違いありません。金田一君もコナン君も怖かないです。やる気でないだろうし。
ただ、いつも彼女に付きまとってる、限りなくクロに近い容疑者はいるわけで。先生、ほぼ確信しつつ、武士の情けでしょうか、黙っててくれました。俺は心臓が飛び出るほどドキドキしていたので、ほっと胸をなでおろします。
なんて切ない幼稚園児。スイート・キンダーガートン・ラヴ。名作映画『小さな恋のメロディ』を地で行ってると言っても、過言ではないでしょう。(過言です)
つーか、こうやって少しずつ、人は大人になるんですね。
 
とりあえず難を逃れた俺は、ナニゴトもなかったかのように幼稚園ライフをエンジョイしていました。いや、全然、まるきし、これっぱかしも覚えてないけど、たぶん。ところが、幼稚園も終わりの時間になり、迎えに来た俺の母親。
うれしそうに、満面の笑みを浮かべて爆弾落としくさりました。
 
「先生、うちの子、昨日手紙を書いてたんですよ。一生懸命、下敷きを見ながら」
 
衝撃の内部告発
 
あろうことか、イチバン信じていいはずの身内の裏切りですよ。穴があったら入りたい、と言うのは決して大げさな言葉ではないのです。このとき初めて、母親に殺意を抱いたんじゃないかと思います。とにかく火が出るほど恥ずかしかったのだけは覚えています。
 
最初の最初から、これですからね。
そりゃあ、恋をするのも慎重になるってモノです、普通なら
つーかむしろ、このとき慎重になることを学んで欲しかったですよ、昔の俺。
 
と言うわけで、俺の恋の歴史は、こんな風に
身内の裏切りによる大惨敗の憂き目を見ながら、
その輝かしい歴史の第一歩を刻んだのでした。

 
 
てなわけで、かみの悲しい恋物語は、これにて。
 
 
 
 
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