笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

俺とおまえ

 
俺はシットする。
 
強い男に嫉妬する。かつて目指した「世界最強」に挑戦する男に。
速い男に嫉妬する。俺があこがれる「公道最速」に挑戦する男に。
大きい男に嫉妬する。己のままに「風のように生きる」男に。
 
俺は強くありたい。俺は速くありたい。俺は大きくありたい。
しかし、残念ながら俺はまさに、欲望と妬心に満ちたちっぽけな生き物だ。世界で一番強くなりたがり、公道で一番速くなりたがり、本当の意味でナニモノにも囚われない男になりたがり。
しかし現実には、強くも速くも、ましてや大きくもない、タダの男だ。
仕事、人間、自分自身に縛られるちっぽけな男だ。最強を目指して血ヘドを吐くことも、最速を目指して命を賭ける事も、得たものを気軽に手放して風のように生きることもできない。
本当に小さな小さな男だ。
 
そして、俺は知っている。自分自身のことだから、嫌になるほど知っている。こんな風に言い放っていること自体が、潔(いさぎよ)いのではなく、逃げているだけなのだ。逃げることに、慣れているのだ。
なんと醜悪な、なんとみすぼらしい生き方であることか。
 
だから、俺は今、誓おう。
醜悪でも、みすぼらしくても、自分という器から脱出できなくても。産んでくれた母、育ててくれた父、ともに生きてきた弟、出会ってあるいは影響を受け、あるいは俺を支えてくれたすべてのヒトに誓おう。
 
期待に、応えると。
 
 
人生は自分のため、自分の思うように生きる。
これは俺の生きる指針なのだが、もちろんそれを踏まえた上で言う。
俺はあんたの、おめぇの、キサマの、期待に応えるだろう。両親の願う幸せな人生を送るだろう。小説好きのために書くだろう。単車好きと走るだろう。俺に期待するすべての人間に応えるだろう。
 
俺はあんたに、おめぇに、キサマによって生かしてもらってるのだ。
だから俺は、あんたに、おめぇに、キサマに応え得るのだよ。
ひとりで生きてゆくには、人生は荒涼としすぎているから。
 
ありがとう。
俺のダメっぷりを見過ごしてくれて。
俺のワガママを聞き流し、あるいは聞き入れてくれて。
俺って人間を肯定してくれて。
 
いや。
 
俺の前に現れてくれて。
 
俺が嫉妬する、俺に嫉妬させる、いうなれば俺を次の高みへ導いてくれる存在である、あんたに、おめぇに、キサマに、心からの感謝と、邪魔にならないなら、心からの愛を。
 
そして、お互い知り合えたコトから生まれる。
 
これからの刺激的な人生に、祝杯を。