でまあ、携帯屋に行って来ましたら、何のことはない。充電されてなかっただけだそうで、ぶっ壊れたわけじゃないらしいです。
余計な出費が抑えられてよかったな、などと、昨日の日記でえらそうに「買えばいい」なんて豪語してたのはどこのドイツだ? オランダ。てなブリリアントでゴージャスなツッコミどころ満載の銀髪小僧、かみですよ。
や、小僧は言い過ぎた。青年だ。いいから青年に負けとけ。
でね?
せっかくいい天気だから、もっと単車に乗りたいじゃないですか? だから、ショップを出たあと、ダチの整骨院に行ったんですよ。ちと、レセプト(保険請求)関係で聞きたいこともあったし。
時間は午後の2時45分。3時から診察だってコトは、きっとまだ昼寝してるだろうと思いまして、しばらく表で待ってました。俺なら当然、確実、絶対に昼寝してる時間だから。
昼寝邪魔されるほど、腹の立つコトはないですからね。日本中の整骨師、接骨師を代表して言わせていただきますが。声を大にして。
何の話だっけ?
あ、そうそう、それでバイトの女の子がスクータでみ〜ん、ってやってきたんで、つーか、生意気にあのヤロウ、バイトの女の子なんか使ってやがるんですよ。俺なんざ年がら年中、まこと(ウチの整骨院の若い衆)と二人っきりで顔を突き合わせてるってのに。
ま、それはさておき「ここのバイトの子? 院長先生は起きてるかな?」と、やさ〜しく話しかけたんですよ。ペ・ヨンジュンか俺かってくらい優しい顔で。いや、マジ。
そしたら彼女うなずきながら、俺を見ます……
「不信感」てのを顔で表現すると、ああなるんですね。
も、明らかに警戒心の塊になりながら、彼女は俺を中へ入れてくれました。ま、どう見ても院長と同業には見えなかったんだろうなぁ。
ともかく聞きたいことを聞いて、俺が昔世話になった先生と三人で呑みに行く段取りをつけて、さて、用は済んだし帰りましょう。表に出て単車の前に行くと、なにやら様子がおかしい。
なんだろう? ナニがおかしいんだ?
ヘルメットかっぱらわれた。
一瞬、何が起こったのか判らないまま、俺は立ち尽くしましたね。ダチの整骨院の前で。ブルータスに裏切られたジュリアス・シーザーばりに。お、ちと文学的。いや、ちっとも。
原チャリで通勤してるダチにメット借りまして、自宅にスペアを取りに戻る途中も、腹立ちは収まりません。このままじゃ、俺の怒りが頂点に達し、赤に変わってしまう(30代以上限定ネタ)。
危機を感じた俺は、すかさず対応策を考えます。
2秒で思いつきましたね。さすが天才。
新しいメットを買おう!
つーわけで、そのまま進路を変更して、ドンキホーテに向かいます。いつものバイクパーツショップはお休みなんで。でも、ちっとも心の琴線に触れるヘルメットがありません。
これはもう、腹をくくって大手術を敢行するしかないと決め、6号線を東京付近まで上り、ドライバーズスタンド2輪館へ。さすがに2輪館と銘打つだけあって、かっちょいいメットが見つかりました。
6号線をゴキゲンにぶっ飛ばし、増えてきた下りの車やトラックの間を縫ってダチの整骨院へ。ちょうど表に出て奥さんや子供と話していたダチにメットを返します。
「さんきゅな? 助かったよ」
「おう、それはかまわないけどさ。おまえ……なんでそんなにうれしそうな顔してるの?」
なんでだっけ?
ま、突っ込みいれられたまま帰るのも癪なんで、帰り際、思いっきり言ってやりましたよ。
「こんな物騒な街、二度と来ないからな!」
苦笑するダチを尻目に、リアタイアから白煙を上げて、俺は颯爽とその場を去りました。
夕方、帰って来た嫁さんに事の顛末を話して聞かせ、新しいヘルメットを買った正当にして当然至極の経緯を報告します。家族会議を通っていない買い物の場合、これは我が家の基本事項なんですな。
話を聞き終わって嫁さん、
「あのさ、○○先生の整骨院って、あたしの実家のそばなんだけど?」
道理で物騒なわけだ。