掌編「オヤジのリーバイス」をお届けします。
なんだか特にナンのひねりも山場もなく、淡々と終わってしまいましたが、ま、たまにはこんなのも……
駄目?
俺は長男坊なのに、親父の仕事を継ぎませんでした。
オヤジは好きなことをしろ、と言ってくれまして、長男坊だからハンドバッグ屋を継ぐのかなぁ、と漠然とした不満を持っていた俺は、胸をなでおろした覚えがあります。
そのときはなんとも思わなかったのですが、今になってみると、やっぱり継いで欲しいって気持ちがどこかにあったのかな? なんて想像することもあります。
俺と違って寡黙な男だったんで、真意はわかりませんが。
その俺もいまや、すっかりレザークラフトにハマって、弟に「血だねえ」なんて笑われてます。いや、楽しいですよ、レザークラフト。機会があったら、やってみるといいです。オススメ。
出来上がった作品を見るにつけ、思うことがあります。
「オヤジ、俺、ハンドバッグ屋を継がなくてよかったろ?」
そのくらい、ひどい出来なんですよ。ひどいつーか、雑。
骨折は半分くらい骨が乗っかってれば、数年かけて勝手に矯正されますからね。大雑把な俺がつないでも、まあまあ、きれいにつながるわけで。ありがたい話です。
とりあえず、ハンドバッグよりは俺向きなんじゃないかと。
ウチの患者さんが読んでないことを祈りつつ。