笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

どの支配からの?

呑んだくれてたら、電話が鳴りました。
携帯の画面を見ると、案の定、まこと*1です。
「ども、お疲れっす」
「おう、お疲れ。んで?」
「今まで三年間、ありがとうございました。無事、卒業しました」
 
7年前、俺が勤めていた整骨院に、何もわからずやってきた小僧が。俺の言うことを一生懸命聞いて、自分で思ったことを、一生懸命形にして、いつの間にか、俺のライバルと言ってもいいくらいの技術と、心を、その手に握って。
 
今。
 
卒業しました。
 
これで、来週の発表で、国家試験に合格(うか)っていれば、その瞬間から、マコトは俺と同じ土俵に立ちます。
 
「まず最初に、親と先生に知らせなくちゃと思って」
「おう、そうか。よくがんばったな? 今日は、飲んだくれていいぞ?」
「なに言ってんすか。俺、家じゃ飲まないですよ?」
「あ、そうか。わかった。代わりに俺が飲んでやる」
「ははは。相変わらずだなぁ。つーか、とりあえず」
「うん?」
「これからも、よろしくお願いします」
「おう! まかしとけ!」
 
電話は切れて、俺は一人、バーボングラスをつかんで。
 
悪りぃ。
 
今日、呑んだくれて、泣くわ。
 
 
 
おやすみなさい。

*1:整骨院の若い衆