笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

愛を感じます

身体を休めるために、休みを取るんですが。
やらなきゃいけない書類は、もちろんてんこ盛りなんですが。
今日、午前中働いて、午後から休診して。
6時間もレザーと格闘してました。
新しく買い込んだレザーレースがものすげ使いやすくて、糸で縫ってたものを全部ばらしてレースでかがってた、さすらいのかがり職人、かみです。
こんばんは。
 
整骨院の隣に、齢90になろうと言うおばあちゃんが住んでまして。
一時期はうちに来てたんですが、近くてマメに来てくれるんで、俺もきっちり治療しまして。すっかり元気になり、最近はもっぱら、ただ、遊びに来るだけなんです。
 
「よ、ばあちゃん、おはよ」
(俺は基本的に、どれだけ老人でもおばあちゃんとは呼ばない。必ず名前で呼ぶのだが、この人だけは別。俺のことを『孫』って呼んでくれるから)
「しっぷちょうだい」
「あいよ」
 
30分後。
「なんだ、ばーちゃん。またきたのか? どした?」
「梅酒造ったから、もっていきなー」
「おーさんきゅな」
「甘いの嫌いだって言うから、砂糖入ってないよ」
「へぇ、そか。ありがとな?」
「まったく、この孫は、わがままでこまっちゃうよ。ねー?」
 
最後の『ねー?』は、待合にいる患者さんに、強引に同意を求めてるんです。ちなみに、そこで患者さんたちが、「おばあちゃん元気ねー」とか話しかけても、ばあちゃん、耳が遠くて聞こえないから、ぜんぜんトンチンカンな答えをして、ニコニコしながら帰ります。
すげぇ可愛い。
 
で、さらに一時間後。
「あれぇ? どーしたの、ばーちゃん? またなんか用か?」
「あのねー、今日は午後休みだろう?」
「うん、そだよ」
「連休するんだろう?」
「うん」
「だからね、心配になってさ」
「なにが? ああ、そうか。連休中、身体が心配だって言うんか? でもさ、最近、ばあちゃん、すっかり元気だから、そんなに心配しなくても……」
 
あいかわらず、人の話なんかぜんぜん聞かない方向で、ニコニコ笑いながら、おばあちゃん。
 
「いいかい? ちゃんと電気消して、カギ閉めて帰るんだよ?」
 
 
あーなんて言うか……
えっと……
 
 
うん、ありがとね。