冬一郎シリーズサイドストーリになる掌編、「セイのお見合い」をお届けします。
なるだろうなあとは思っていましたが、やっぱり長くなりました。まあ、ダレてる部分はないと思いますので、お暇な方はご賞味ください。
喜んでいただければ幸いです。
俺とまこと(整骨院の若い衆)が、千葉県で一、二を争う掃除嫌いなのは有名ですが、さすがに、ごまかしが利かなくなって来まして。なにって、ブラインドのホコリ。
言っても掃除大好きな主婦だって、かなり憂鬱になるめんどくささじゃないですか、ブラインド掃除って。まして、俺とまことですからね。切れ者スタッフふたりのブレインストーミングは、モノの3秒で終わりました。
ブラインドを買い換える方向で。
で、この次期と言えば目に付くのは「すだれ」。和の情緒たっぷりで、しかもブラインドに比べれば滅茶苦茶安いこのアイテムを逃す手はありませんやね。
早速買い込んできました。一枚200円。中国の人件費ってのはいったいどうなってるんだってな、素朴な疑問はさておき、早速取り付けですよ。
釘打ったりとか、面倒なことはしません。単車乗りの必須アイテム、タイラップでガンガン留めていきます。一般的には結束バンドと言われてる、あれです。
あっという間に、和風おしゃれ空間が出現しました。リフォームの匠もびっくり。
今まで安っぽいだけだったベニヤの壁も、なんとなくマッチしていい具合。すだれから差し込む陽光は、これまたやけに柔らかく、暖かな雰囲気を醸し出します。もうすぐ夏なのに、暖かくするのもどうかと思いますが。
患者さんの反応も、おおむね良好。年配の方が多いですからね。やっぱり日本人は、和の雰囲気こそ落ち着くんです。真っ白で清潔だけど冷たい感じの医療機関とは違った、アットホームなかおりが院内に広がってますよ。
で、昼休みになって、なんとなく誰もいなくなった院内を見渡したんです。すると……あれ? この光景、どこかで見たことあるな。どこだろう? 実家かな?
ああ、わかった。
東南アジアのどこかの映像だ。
中に10人くらい住んでても違和感ないね。