笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

キレやすい若者

まこと*1がね、言うんですよ。
 
「俺、哀川翔とキレどこが一緒ですよ」
「キレどこ? 何の話だ? 怒るタイミングってことか?」
「いやね、TV見てたら哀川翔が奥さんに『今日、なに食べたい?』聞かれて『コロッケかなぁ』って答えたそうなんです。そんで、その日一日、帰ったらコロッケだーって心を作ったらしいんですよ」
「おや、ま〜たワケのわからない言葉を使うよ、この子は。心を作るってのは、あんだ? あれか? 心の準備をしたってことだな?」
「そうそう。それで帰ってもなかなかご飯が出てこないんですって。でも、奥さんも働いてるから、文句も言わずに待ってたらしいんですよ。でもいくら待っても出てこないから、おなかがすいたなぁって言ったんです」
「ほほう。えらそうに『作れ』とか吠えないところは、さすが哀川さん。まあ、俺なら我慢できないから、自分で勝手に作って食うだろうけどな。哀川さん的には、奥さんのコロッケが食いたかったと」
「ところが、出てきたのはステーキだったんです」
「んだ。いいじゃねーか。むしろウエルカムじゃん」
「よくないですよ! 完全、キレどこですよ! コロッケモードで、完全に染まってるんですよ? も、コロッケ以外食えるわけないじゃないですか!」
「ごめん。わかんないや」
「それで哀川翔は切れて、ステーキをガシャーンってやったらしいんですよ」
「まことくん。もう28なんだから、擬音と身振りで話すのはやめなさい」
「そしたら奥さん、作り直して、出てきたのがまたステーキ」
「や、聞けよ俺の話」
「結局それを三回繰り返したんですって。TVの人たちはみんなおかしいって言ってたけど、俺としては哀川翔、ぜんぜん間違ってないと思うんですよね。俺と切れどこ、まったくおんなじですよ」
「むしろ俺は、三回ステーキ出した、彼の奥さんの気の強さに敬意を表したいんだが、それはさておきだ。哀川翔クラスの食ってるステーキ肉といえば、相当なもんだろう? それを三枚、だめにしたのか。もったいないなぁ。俺によこしゃいいのに」
「む……それは確かに。肉の神様に怒られる」
「その神様は初耳だな。俺の崇拝するバッカス*2みたいなもんか」
「俺ならキレて、その肉冷蔵庫にしまっときますね。そんで、次の日、チンして食べる」
 
それ、キレてないから。
むしろ、めちゃくちゃ冷静。

*1:整骨院の若い衆

*2:酒の神様