今日の恋人は、「琴姫」。
丹沢の水で洗われた、いい女です。
やっぱり日本酒って言うのは、女にたとえたくなりますね。田島先生とかが聞いたら、また女性蔑視だとか吠えるんでしょうが。知ったことか。
選(よ)った米と選った水を、杜氏が心をこめて育て上げた、まさに箱入り娘。おきゃんな娘(こ)もいれば、繊細で壊れやすい娘もいる。きっと杜氏てのは、酒を詰めて売り出すとき、娘を嫁にやるような心境なんでしょうな。
だから本当は、うまい肴と、穏やかな時間、あったかい人々に囲まれた、さらに贅沢を言えば味のわかる人間に、じっくり味わって飲んで欲しいんでしょう。俺だったたらきっとそう思う。
娘を息子にすれば、女のヒトにもわかってもらえるかな?
とにかく、我々日本人にとって日本酒って言うのは、こころの宝な訳です。なのに我々は日本酒と言うものを、とかく軽んじがちだと思いませんか? フランス人がワインを愛する、その何百倍の愛情でもって、日本酒を愛していきましょうよ。
故郷ってものは、心の中にあるんですよ。そしてその故郷、つまり日本の心。日本民族の心を表すひとつの究極の形が、日本酒なんですよ。
日の丸や君が代が日本の旗や国歌であることに疑問や否定的な意見を持つ人でも、日本酒が日本を代表する酒だと言うコトには、文句をつけようがないでしょう?
だからね。
俺の酒を、料理に使うな。