笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

竹ノ塚ラプソディ

患者さんの23歳と17歳の姉妹が治療にきまして。
3、4年前からよくウチの治療院に来てる、まぁ、娘だの妹みたいなもんなんですが、そのうちのお姉ちゃんの方がニコニコ笑いながらうれしそうに報告するんですよ。
 
「先生、あたし今度引っ越しするんだ」
「お、念願の一人暮らしか?」
「ううん、ふたり。結婚するの」
「おぉ、そりゃおめでとう。あんだ、子供でもできたか?」
「うん、できた。でも、お母さんにはまだ内緒なの。引越し終わって、結婚の報告をして、落ち着いてから話そうと思ってるんだ。だから、先生も言わないでね?」
「あーよ。早いとこイロイロ終わらせて、かぁちゃん安心させてやれ。ところで、どこに引っ越すんだ? 旦那はこっちのヒトなのか?」
「うん、同級生で高校のときから付き合ってるヒト。だけど、シゴトが東京だから、都内に引っ越すの」
「ふ〜ん、どこに?」
「竹ノ塚」
「おぉ、懐かしい! 俺、保木間に住んでたんだよ。竹ノ塚とか綾瀬が最寄り駅だったんだ。つーかよ、竹ノ塚って治安悪いぞー?」
「うん、知ってる。でも、旦那が『治安の悪い原因のひとり』かもしれないから、逆に大丈夫だよっ」
「ぎゃはははっ! 何が大丈夫なんだか意味がわからん。んじゃ、もしかして俺があっちにいたころ、マンションの前に並べてた単車を全部まとめて盗んだのは、お前の旦那じゃねぇのか? はははっ」
「ははは……」
「ま、20年くらい前の話だから、おまえら幼稚園児だけどな」
「な、なんだぁ……20年前かぁ……」
 
 
なぜ、あからさまに安堵の表情。