笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

大往診 (後編)

 
二日目は入院してた親父さんが、一時帰宅。
 
早速、朝から治療をしていきます。
ところが、この親父さんがクセモノでして。
いや、性格とか人格の話じゃなく、単純に身体が
 
ナニって、ものすげぇ柔らかいんですよ。
 
普通、コレだけ悪くなってると、アチコチ硬いんですね。
もちろん、主要な筋肉は固まってるんですが、関節はやたら柔らかい
「暇だからストレッチやってたんだ」とは、本人の弁。
 
柔らかいこと自体は、とてもいいコトです。
ですが、そのおかげでストレッチ的な治療はほとんど効果が出ません
アタマをフル回転させ、考えられる限りの治療を、やれるだけやります。
 
久しぶりに手ごわい患者さんでした。
 
 
 
治療を終えたら、昼飯を食いに近所のラーメン屋へ。

ナオミは、ゆずトンコツラーメン。
 

俺はトンコツラーメンとおにぎり。
チェーンの「山小屋」なんですが、どうやら地域で味が違うっぽい。
他の店よりも、俺はココのが好きですね。
 
帰ってのんびりしたら、夕方からまた治療。
 
手ごたえが少なくて、久しぶりにちょっと自信がありません。
それでも、主要な部分はひと通り治療し。
ついでに、ちょっと普段はやらない治療もためし。
 
なんとか、多少は結果を出しました。
あとは翌日の反応を見て、それにあわせた治療をしてゆきます。
それにしても、あの年齢であの関節の柔らかさは反則だ(´・ω・`)
 
 
 
治療が終わって一息ついたら、夕飯は表へ食べに出ます。
 
正確には、居酒屋へ呑みにゆきます。

お出かけタイムの一張羅、「レブステーキ」Tシャツ。
背中にはもちろん、「肉しか信じない」の文字。
ま、言っても今日の晩飯は魚介メインなんですが。
 
香椎(かしい)にある居酒屋、「こころ庵」
http://tabelog.com/fukuoka/A4002/A400201/40021958/

案内や食べログ記事には、居酒屋と書いてますが。
看板にあるように、ココはおすし屋さんです。
もしくは割烹料理屋さん。
 
ま、細かい説明はアレですから、一緒に料理を見てゆきましょう。
 

まずはゴマサバ。軽く〆てありました。
もちろん生臭さは一切なく、さっぱりとした美味しさです。
 

お次は、アナゴのあぶり。ほとんど火は通ってなくてタタキっぽい感じ。
アナゴの刺身って、コリコリして美味しいんですね。
ウナギみたいなのしか食ったことないから驚きました。
 

ギンダラの西京焼き。
脂が乗ってて、でも、しつこくなくて酒が何杯でも呑めます。
コレは多分、素材云々より板さんの仕事
 
 
 
そして、俺的MVP。
 
 
洋風茶碗蒸しと、牛のタタキ。

牛のタタキに目が行きがちですが、主役は茶碗蒸し!
あぶり帆立の乗った茶碗蒸しに、溶かしバターをたっぷりかけてるんです。
これがもう、美味いのと驚くのと、とにかく幸せな味
 
「茶碗蒸しを喰って歓声を上げた」のは、初めての経験でした。
 
少し薄味に仕上げた茶碗蒸しに、濃厚な溶かしバターの風味。
乗ってる帆立は、身のぎゅっと締まった刺身を、軽くあぶったもの。
口に入れると、茶碗蒸しとバターと帆立が、複雑に混ざって広がります。
 
なんでコレを思いつかなかったんだろう。
なんで40過ぎまで、コレを喰えなかったんだろう。
理不尽な後悔さえ浮かんでくるほど、美味しくて幸せ。
 
このひと品だけで、俺はここの板さんに惚れました(*´▽`*)
 
 
 
さて、茶碗蒸しの興奮冷めやらぬまま、メインディッシュ。

すべて、「あぶり」の入った、握り四貫。
奥から、「アラ(クエ)」、「中トロ」、「イカ」、「サンマ」。
それぞれに一工夫してあって、目にも舌にも楽しい。
 
サンマの上に乗ってるのはワタで、俺はコレがイチバン美味かったかな。
 
 
 
あとは、つまみながら酒を呑みます。
俺は最近では珍しく、日本酒一辺倒で攻めました。

しいたけのソテー。
茶碗蒸しと同じくバターが効いてて、酔った舌にちょうどいい。
 

確かタラの白子てんぷら。
このへんでもう、みんなお腹いっぱいなんですが。
相変わらずお母さんは「食え食え」攻撃を仕掛けてきます。
 
「お母さん、もう頼んじゃダメ!」
 
美味い喜びと、喰えない哀しさにもだえる43歳。
 

最後にコーヒーゼリーで口をさっぱりさせて。
楽しかった夕食は終了しました。
どのくらい楽しかったかって、
 
呑んでる俺が、一度もタバコを吸いに立たなかったくらい。
 
香椎の「こころ庵」、今年最高のお勧めです(`・ω・´)
 
 
 
 
翌朝、起きてみると。
親父さんの身体に、だいぶん変化が起こってました。
シビレはあるものの、痛みはほとんど取れたとのコト。
 
それを聞いて、ようやく安心しました。
いやー、こんなに自信がなかったのは、修行時代ぶりです。
とにかく、結果が出せてよかった。
 
九州まで来た甲斐があったってものです。
 
お互いに喜びながら、さらに治療をし。
昼をはさんで、もう一度治療したところでタイムアップ。
親父さんは昨日より伸びた腰で、病院へ戻ってゆきました。
 
 
 
何とか手術しない方向へ持ってきたかったのですが。
 
残念ながら神経症状が残ってしまいました。
コレはおそらく、介達牽引くらいじゃダメでしょう。
ドクターとの相談結果にもよりますが、手術は避けられなさそうです。
 
ですが、ずいぶん症状が改善したので、術式も変わるかもしれません。
親父さんの身体に負担のかからない、簡単なオペになることを祈ります。
ま、アレだけ身体が柔らかければ、復帰はすぐでしょうけどね(´▽`)
 
親父さんが病院へ戻り、おかあさんの食え食えをかわしつつ。
かわしきれずに、「ブラックモンブラン」を食い。
マンガを読みながら就寝したところで、この日は終了。
 
 
 
最終日、のんびり起きて用意を済ませ。
バスに乗って博多駅へ。

「水どう」ファンにはおなじみのバス停を降りたら。
お土産を買ってから、駅ビルのうどん屋へ。
ナオミが前日から、「うどんうどん」とやかましかったのです。
 

能古うどんのタライ。
福岡つーと、ふわふわの柔らかいうどんが有名ですが。
ここのは稲庭に近い感じで、関東人の俺も美味しく食えました。
 
でも、うどんはやっぱり讃岐が最強だなぁ(´▽`)
 
 
 
福岡空港は、関東よりも喫煙所がおおくて便利でした。

シンプルで飾りはありませんが、広くて必要充分な喫煙所です。
嫌煙権と喫煙権の話はメンドーだからしません。
あれば喫煙所で、なければメイワクのかからないように。
 
他の人は知りませんが、俺はそれでいきます。
 
 
 
飛行機に乗り、一気に羽田へ。
 
やっぱり疲れてたんでしょうか。
甘いものを喰わないふたりにしては珍しく。
カフェで塩キャラメルラテなんぞを頼みます。

なんか甘い牛乳でした。
 
羽田からは、直通バスで柏へ帰ります。

「かみ、深夜バスで行くとか言ってたじゃない?」
「おう、はかた号な。キングオブ深夜バス」
「あれ、14時間だよね?」
「うむ、キングだからな」
 
「あなた、羽田から柏で、すでにヤラれてない?」
 
深夜バスは、まだ、ハードルが高そうです。
 
 
 
てなわけで、ちょっと遠目の往診でしたが。
とりあえず、行ったなりの結果は出せたのでよかったです。
久しぶりの九州も、相変わらず美味くてステキな街でした。
 
また近いうち、治療や遊びに行きたいなと思います。
 
 
 
今度は、バイクか深夜バス(`・ω・´)
 
 
 
大往診/了