四国のハーレィ乗り、アンジェの兄貴からメッセージが来まして。
「友人の雑誌でキャンプ道具特集するから、紹介してもいい?」
というお話だったんですよ。
ま、正確には、
「変態キャンパーを紹介してほしいって話だったので紹介してもいい?」
ってコトらしいですが、なぜ、そこで俺が出てくるのか不思議。
兄貴 「バイクでキャンプで変態って言ったら、かみさんしか思いつかない」
かみ 「でも俺、キャンパーなんですかね? 自信ないです」
兄貴 「キャンプ道具を自分でカスタムしてる変態の特集だってさ」
要は「いじったキャンプ道具」の特集らしいんですが、それも自信ない。
これが「壊した道具やバイクの特集」なら、巻頭を飾る自信はありますけど。
でも四国の兄貴のお話ですから、受けるに決まってはいるんです。
兄貴の知り合いなら、間違いなく面白いだろうから。
てなわけで快諾し、そのあと件(くだん)の編集さんから電話が来て。
なんだかんだで、水曜日の午後に取材をすることとなりました。
しかもその方が「バイクで来る」と聞いて、軽くテンションアップ。
「どんな人だろうなぁ」
そして当日、半日仕事を終えて帰宅し、家で待ってますと。
なにやら表に、凶悪な排気音が聞こえてきます。
この段階でもう、すでにニヤニヤしながら玄関を開けますと。
めっちゃ俺好みのカスタムされた、ハーレィ・ダビッドソン・ファットボーイ。
乗ってるのは、背の高い、長髪を後ろで結んだ、髭ヅラの男。
俺の知ってる「編集者」とは一線を画す人物が、にっこり微笑んでました。
彼の名は「ウメ」さん。
あの有名なハーレィ雑誌、「バイブス」の編集をされてる方です。
今回はバイブスじゃなく、「バイカーモン」って雑誌の取材だとか。
ちょっと挨拶したら、すぐ、目の前のハーレィの話。
あえてフロント16インチにこだわる話なんかをしたありで。
ようやく気付いて、家に入ってもらいます。
この段階で俺的には、取材がどうとか、お客さんって感じじゃなく。
ダチのダチが初めて遊びに来てくれたって感じ。
初対面なのに、もう、すっかり胸襟が開けてしまいます。
家に入ってからも、またしばらく、バイクやダチの話。
お互いの価値観や、単車、友人に対する考え方。
クルーザの戦闘力とか優れている部分と、ほかの単車の比較。
結構、長いこと話してから、ようやく本題に入りまして。
家の中でいくつかの道具の写真を撮りつつも、駄弁り。
もちろんウメさんは仕事なんですが、俺的にはもうダチと遊んでるイメージ。
俺より10くらい若いんですが、なんか話が合うんです。
仕事がら、単車乗りがらみの苦労が多いんでしょうね、きっと。
それから外に出て、例のラックを単車に積んだところとか。
ほかの道具類を写真に撮ってゆくウメさん。
そのあいだ俺の方はといえば、当然、気になるウメさんの単車。
じろじろと遠慮なく見て回ります。
めっちゃラットバイクっぽいのに、ETCがついててニヤッとしたり。
長いフォークや、手の込んだフロントフェンダーステー。
見てるだけで楽しくて、あっちこっち覗き込んでしまいました。
ああ、確かにその絵だけ見れば変態かも知れん(´・ω・`)
ワンオフの円筒形ツールボックスや、使い込まれたサイドバッグ。
コレダのテールランプに、後付けの社外キックスタート。
でも、それより縛りつけた座布団とか、ヤレてるけど綺麗なメカ部分など、
とにかく「走ってる感」がカッコいいんですよ。
ピカピカにして飾っとくのも悪いとは思いませんが。
俺がかっこいいと感じるのは、こういう単車に刻まれた年輪なんですね。
一緒にたき火を囲みたいなぁと、心から思いました。
で、ふとエキパイを見ると、ヒートガードが変な形。
かみ 「なんですかこれ? なんかギミックっぽくてかっこいい」
ウメ 「ああ、これはジェット機の部品なんですよ」
といいつつ、ヒートガードに手を伸ばすウメさん。
かみ 「あ、動いた!」
ウメ 「ま、意味はないんですけどね」
かみ 「なはは! それが面白いじゃないすか」
とまあ、俺の方には、取材されてる感覚が一切なく。
そして、半端なところで写真が終わってることからも分かるように。
写真を撮り終えたら家に戻って、そのあとはただひたすら。
延々と単車や単車乗り、生き方考え方、それにバカ話をしまして。
結局、三時間半の取材時間のうち。
半分、いや、2/3くらいは普通に単車乗り同士として話してました。
ホント、たき火を囲んで酒を飲みながら話せないのが残念でした。
いずれまた、ウメさんと楽しく話せることを。
その時は、星空と酒杯がそばにあることを願いながら。
ゴツいチョッパーで去ってゆく、彼の背中を見送ったのでした。
芯のある、面白い男との出会いは、いつだって幸せです。
願わくはこれからも、こんな楽しい出会いがありますよう。
そして出会った人たちと、素敵な時間が持てますよう。
そんな風に思った、水曜日の午後でした。