基本的に、患者さん、嫁さん、そのほか、とにかく俺と顔を合わせる人々の、ことごとくに評判が悪いです。
何って、俺のヒゲが。
俺の心の中に住む妖精が、「ヒゲ、似合うと思うよ」って言うんで、伸ばし始めたんですが、ここまで評判が悪いとね、もう、完璧にムキになりまして。
誰がなんと言おうと、しばらくは伸ばしますよ。誰だろうと妖精にはかなわないんですから。まあ、そのうち飽きて剃るんだろーし、せっかくだから、どこまで行けるかやってみようと思ってます。
とりあえず、ここんとこ朝から晩まで忙しくて、その上、月末の嫌な訪問者、レセプト(保険請求)までやってきやがりますからね。ヒゲどころじゃねーですよ、実際。飲みに行く暇もねーってのに。
いや、俺はいいんですよ。飲みにいけなくたって、ぜんぜん気にしません。
しょうがないですよね、仕事なんですから。
でもね、それじゃあ、
妖精がかわいそうだと思うんだよなぁ……
ほら、俺の妖精、酒が大好きだから。
さ、呑……仕事しよ。