笑ってる?

創作サイト【神々】の日記

わが生涯に一片の悔いなし

患者さんにソシアルダンスをやってらっしゃる方がいまして。
病院で安静にしろと言われ、しばらく休んで治療に専念したのに、一向に改善が見られないと言う事で、ウチを紹介されていらした方なんです。診てみれば運動療法が必要で、安静にしてて治るわけがないだろうつー話なんですが、コレは病院のせいだけではなく。
悪い意味でアメリカナイズされてきた社会にも、その一端があるんです。
近年、やたら訴訟が多くなってしまったため、『「運動しましょうね」と指導していたところ、「言われたとおり運動したら怪我をした」と訴えられた』なんて事例が増えてきたため、病院側もリスクを恐れて「安静に」としか言えなくなってきたという側面もあるんですよ。
アホらしい話ですが、解決の難しい話でもあります。
 
話がそれた。
んでまあ、俺ンとこで精しい説明と治療、自分で出来る運動を指導したところ、数日で結果が出てきたので、大変喜ばれたんです。なにより今まで、「動いちゃいけない」と言われて、『大好きなダンスをできないストレス』が溜まりまくってましたからね。
今じゃ、ダンスしまくりで顔色まで良くなってきて、まあ、めでたしめでたしなんですが。
 
その方の娘さんが、今日、怪我をして治療に来られまして。
「いつも、母がお世話になってます」
「お母さん、元気になられてよかったですね」
「でもねぇ、元気すぎちゃうんですよね」
「ははは、いいじゃないですか」
「ダンス教室に、大学生の男の子が居るんです。だからもう、張り切っちゃって」
「いやいや、若い男の子と張り切って踊っちゃうなんて、頼もしいですよ」
「こないだ迎えに行ったら、息切れしちゃってて。胸を押さえて、はぁはぁしてるんですよ。それでもまだ、踊るんですからねぇ」
「そ、それはさすがに……」
「まあ、男の子の胸で死ねれば本望でしょうけどね」
 
壮絶だけど、ちょっとカッコイイなそれ。