目の前には、見渡す限りの大海原。
小さなボートで、無謀にも大きな海へ漕ぎ出す。
嵐にあい転覆しかけたり、凪の日に太陽に焼かれたり 。
たくさんのコトをどうにかこうにかやっつけて、ここまでやってきた。
あちこちに立ち寄って、そのたびに舟は変わってゆく。
大きくなることもあれば、小さくなることもある。
豪華客船になることもあれば、海賊船になることもある。
気がつけば、周りにはたくさんの船。
同じ方向に行くもの。
交差して別の方向へ行くもの。
あるいは遠くをただ通り過ぎるもの。
近づくもの、去りゆくもの。
アナタの航路と俺の航路は、交わらないかもしれない。
同じ方向に向かっているかもわからない。
ただ一瞬、併走しているだけなのかもしれない。
このまま併走しつづけるのか?
いずれ見えなくなってしまうのか?
この先の波、天気、風向きと一緒で、誰にもわからない。
ただ、大きな海を航海していると、併走するものの存在は 。
俺にとって大きな、大きな安らぎであり、喜びだ。
アナタにとっても、そんな存在でいられるように。
せめて、盛大に汽笛を鳴らそう。
俺は、ここにいる。
アナタの航路とは、近づくことさえないかもしれない。
だから、大きな旗を揚げよう。
俺は、ここにいる。
アナタに見えるところで、飲んだくれて歌ってる。
アナタに見える間は、笑いながら踊ってる。