交通事故で治療に通っている患者さん。
整形外科に一ヶ月通って、ちっとも進展がないので、口コミでウチにやってきました。それが５月末の話。
来た日から効果があって、それからまめに通ってくれています。本人も、もっと早くくればよかったなんて言ってくれて、こんなときは「ああ、金じゃないなぁ」って思います。
家に帰ってビール開けるころには「いや、金でしょ」なんて思うんですがね。いや、ほら、欲しいものだらけの、クレクレタコラだから。ターボキット欲しいぃ！！
でね、担当の保険屋から電話がありまして、どうも言ってる内容が歯切れ悪い。何が言いたいのか、ちっとも伝わってこない。元来気が短いんで、はっきり言えと迫りますってえと。
「早く患者を治して欲しい」
んなこたぁ言われなくてもわかってるんですよ。患者さんが楽になるのが一番って言うのは、俺のいつも思うことなんだから。そんでも、受傷後一月もほっとかれたような状態だったわけで、そう簡単には治らない。
だいたい、整形でろくな治療もしないまま、ほっとかれた尻拭いをしてるのはこっち。患者さんも「だいぶ楽になったから、この分なら７月半ばくらいで終われますかね？」なんて言ってる訳です。
ほぼ二ヶ月で治癒なら、このくらいの傷害にしては早いことはあっても遅いと言うことはないはずです。そう、少々立腹気味に言いました。と、保険屋。
「今月で切ってくれると助かる」
ブチン！
キレやすいなんてのはよく言われるんですが、ココでキレなきゃ男やってる意味がない。これをも我慢して冷静に対応するのが大人だって言うなら、俺は大人じゃなくていいです。
もう、電話口で怒鳴りまくりですよ。
向こうが一生懸命なだめようとしてるのが、余計、癇に障ります。
「先生とケンカしたいわけじゃないですから」
「大人なんですから、もう少し冷静に」
目の前にいたら、殴ってましたね、間違いなく。
いや、実はちょうどその場に、件（くだん）の患者さんが来てましてね。初めて来たとき眉間にしわを寄せて憂鬱そうな顔をしていたのが、いまや他の患者さんとニコニコ雑談してるくらい、よくなってきてるんです。
目の前に、「俺は正しい」と言う証人を見ながらですから、そりゃヒートアップもしようってものです。
俺の言ってることは建前っぽいかもしれないし、電話口で怒鳴るのは、そりゃあよくないかもしれないです。でも、「治せ」ではなく「切れ」はおかしい。絶対におかしい。
こう言うバカが、気の弱い患者さんを無理やり終了させるんでしょう。そんで、会社では仕事が出来るって言われるんですかね。なんか、こっちが憂鬱になってきますよ、ホント。
馬鹿だといわれようが、建前と言われようが、こんなことが起こるたびに、俺は何度でもキレますよ。それでリストに載ろうが、厄介者扱いされようが、なんでもねえです。
ガキのころから模索し続け、やっと見つけた俺の生き方ですから。
